FIFAワールドカップ2026での激闘、その裏側をサッカー日本代表監督・森保一監督に聞きます。
■激闘の裏側 選手たちの素顔
(Q.連日の素晴らしい試合・プレーに、応援する側も素晴らしい思い出を作らせていただいたような気がします。お疲れさまです。ありがとうございました)
森保一監督
「我々こそ、本当に国民の皆さんもサポーターの皆さんも応援してくださって、応援の輪が大きかったのはメディアの皆さんが報道して下さって、我々の力に変えさせていただいたので、ありがとうございます」
(Q.森保監督は『共に戦う』という言葉を使いますが、そういう気持ちで日々の試合に臨んでいましたか)
森保一監督
「ワールドカップで我々が勝つためには、国全体で戦わないと勝てないような舞台なので、共闘をお願いしたいと思っていますし、我々が勝てば国内外の日本人の皆さんが喜んでくださるという思いもあって、共闘ということをお願いしています」
(Q.疲れはとれましたか)
森保一監督
「元気です。常に元気です」
(Q.今回の日本代表は特に一致団結してる感じがありました。その雰囲気の良さはどこから生まれましたか)
森保一監督
「“俺が一番”“俺が王様”みたいな選手たちばっかりなんですけど、仲間のために、チームのために、何よりも日本のために戦うっていう志が一致している。その雰囲気が良かったのかなと思います」
(Q.自分が一番だと思う人たちが、本当のチームワークを作り出せるのかもしれないですね)
森保一監督
「彼らがまさに実践してくれてるなと思っています」
■強豪オランダ戦の舞台裏
(Q.グループステージ初戦のオランダ戦。追い付いて2-2の引き分けはどう感じましたか)
森保一監督
「選手たちが本当に粘り強く戦ってくれたなと思っていましたし、試合を見ていて、日本の立ち位置と、世界の戦いの中でフェーズが変わったなと。というのも、我々よりFIFAランクが格上のチームは、力で圧倒的に押してくるんですけど、オランダは最初から戦術的に戦ってきて、守備もしっかり固めてきて。これまで経験したことがないチームとの戦い方をさせていただきました」
(Q.相手チームは、日本のレベルが高まっていることを、最初から分かっていたんですね)
森保一監督
「相手も警戒してきていたと思います。それは、これまでの国際試合・親善試合等々の内容や結果もそうですけど、日本人の選手たちがヨーロッパの舞台で活躍してくれてるので、日々のスカウティングからも日本を警戒してきてるのかなと思いました」
(Q.難しい2戦目、チュニジア戦では4点を取りました。あの試合ぶりは頼もしかったですね)
森保一監督
「チームでも2戦目は本当に結果が出てないので、まずそこで歴史を変えていけるようにということで、選手たちも選手ミーティングを重ねてくれて。絶対に気を引き締めていく、ここで勝って次のステージへの希望をしっかりとつなげていくということで、本当に頑張ってくれました。うれしかったのは、メキシコのスタジアムに日本人サポーターがいっぱい来てくれたのと、メキシコ人も外国人の人たちも日本の応援をすごくしてくれました。ホームみたいでした」
■ブラジルに“先制”指揮官の狙い
(Q.日本初の決勝トーナメント初戦突破をかけたブラジル戦。ブラジル相手に先制して歓喜に沸きました。その瞬間はどんなことを考えていましたか)
森保一監督
「点を取ったことでブラジルのギアが上がってくるので、より集中力と粘り強い戦いをしないといけないなと思いました。あとは何よりも、守りに入り過ぎない。もちろん相手が攻めてくるので、しっかり守らないといけないんですけど、守備だけの守備にならずに、ボールを奪いに行く守備と、守備の後に攻撃を絶対忘れないようにということを思っていましたし、選手に伝えていました」
(Q.ブラジルは後半、クロスボールを増やす戦術に変更し、日本ゴールに迫っていました。この時の選手への指示・声はどういったものでしたか)
森保一監督
「ハーフタイムにブラジルが戦術を変えてくるかもしれないということは、過去のデータを示して、いくつかの選択肢を持ってもらって。ブラジルが死に物狂いで、なりふり構わずゴール前にボールを入れてくる、これに耐えられるようにしないといけないかなと。過去の歴史の中でも、最後これでやられているケースが多いので、ボールを上げさせる前からの守備、しっかり跳ね返す。そして、攻撃につなげて相手を押し下げることを、今後やれるようにならないといけないと思います」
■ブラジル猛攻“選手交代”の意図
(Q.後半11分でクロスボールから同点ゴールを許して追いつかれました。これを受けて日本は、堂安選手など攻撃的な選手を下げ、菅原選手など守備的な選手を投入していきました。こうした選手交代は戦術的にうまく機能しましたか)
森保一監督
「戦術的には悪くなかったと思いますけど、その交代が失点の前にやっていれば、未然に失点を防げて守る、集中力とか粘り強さもより保っていたかもしれなかったです」
(Q.ブラジルの後半の猛攻は、予想を超えている部分はありましたか)
森保一監督
「予想を超えている部分はなかったですけど、それぐらいは作るだろうなと思っていましたので。これまでは親善試合等々も含めて、すごく粘り強く戦う、そこで最後勝ち切ることができていましたが、想像以上のものがピッチ上では起こっていたのかなと思います」
(Q.それぞれの選手交代の意図はどこにありましたか)
森保一監督
「サイドの2人を変えたのは、ブラジルがシンプルにサイド攻撃でボールをゴール前に入れてきていたので、クロス、クロッサーを止める。そこのサイド攻撃をまずは止める。ゴール前にボールを運ばせないようにしようかなと思っていて、守備から攻撃にというところで変えました。さらに(鎌田)大地は足に違和感を訴えていたので(田中)碧に変えました。いずれにしても90分というか、延長120分の想定もしていたので、その時には中盤も大地、(佐野)海舟、碧の3人で120分戦いきる想定はしていました」
■『世界の壁』日本に足りないもの
戦いを終えた日本の選手たちから『個の力を伸ばすことが必要だ』という言葉が何度も出てきていて、キーパーの鈴木彩艶選手はこんな話をしていました。
鈴木彩艶選手
「ブラジル戦2失点目のシーン。相手がタイミングをずらしたシュートを打ってきて、自分はボールに反応して触ることができたけど“1ミリ”でも、もっと触れていたらボールが内側にこなかったかもしれない。自分としては頭の中で冷静に判断して、どこを直せばいいのかと分かるので。もちろん悔しい思いは持ってますけど、もう次に向かっている。自分がどうするべきだったのかは、はっきりと明確に分かっている」
(Q.『1ミリに至るまで、自分が次に何をすればいいか分かっている』という自信に満ちた言葉でした。他の選手にも、それぞれの思うところ、自覚はありますか)
森保一監督
「選手は自分がやるべきことを一人一人がすごく把握していると思います。あとは、色んな状況に対応する選択肢を増やしていくことを経験の上で培っていって、みんなが自然に対応できるように、どんどん力をつけていっていると思います。彩艶場合も多分そう。相手が上手くなればなるほど素直にやってきてくれないので、タイミングを外してきたりとかは。この前のシーンも実はそうなんです。冨安(健洋)をちょっと中に寄せて、そのタイミングを作ってパスをしているので。とかっていうことを、相手のレベルが上がった時の対応力を、この試合で本気のブラジルから力を未来に向かって突き刺してもらっていると思います」
(Q.ミリ単位、コンマ秒の差を埋めることが果てしなく遠かったり、すぐ手に届くところだけれども難しかったりするのでしょうね)
森保一監督
「仰る通りだと思います。手を伸ばせば伸ばすほど遠くに感じるというか、すぐ追い越せそうなんですけど、本当にミリ単位とかコンマ何秒単位のプレー、ほんのちょっとのポジショニングが、果てしなく大きな差というところはあると思います」
■W杯日本が手にしたもの
(Q.海外勢がワールドカップのピッチに立っているのを見て、どんなお気持ちですか)
森保一監督
「見る立場になりたくなかったです。もう本当に悔しいですね。勝って、国民の皆さんの活力になりたかったですし、勝って、皆さんが日本人の誇りと自信を持ってもらって、これからの勇気につなげてもらうこと。あと4試合、本当にやりたかったんですけれども、本当に残念です」
(Q.カタール・ワールドカップの後に感じたことと、ブラジル戦の後に感じたことは同じなのか、違うのか。どんなことを感じていますか)
森保一監督
「違う点で言うと、さらに世界に近付いたなという感じはしてます。ただ、自分の感覚では実は、ワールドカップ両方とも同じで、それは何かというと、2050年までに日本のサッカーが世界一になるということを掲げていて、私自身は歴史の一部で、過去と今をつないで、今の最大値を発揮して、できれば今、世界一をとりたかったですけど、未来に世界一になるために、今のレベルアップに貢献するということでずっと仕事をしてきてるので、あまり実は変わりがないというか。ワールドカップであっても、自分の心境は実は変わってないのが本心です」
(Q.8年間、共に歩んだ日本代表、どこが一番変わったと思いますか)
森保一監督
「変わったところは、選手のメンタリティーが絶対的に変わったかなと思いますね。どんな相手とも同じ目線で、戦った中で勝ったか負けたか、何ができたかできなかったかっていうのを考えられると思います。みんな理想は持ってますけど、目の前の現実に全力を尽くして、そこを乗り越えていくんだ。レベルアップしていくんだという、今の全力と、未来に向けてのチャレンジを同時に入った戦いを、どんな相手とできるっていうところは、すごく変わったかなと思います。今までは、どちらかというと受け身の守ってカウンター。今も“良い守備から良い攻撃に”というコンセプトは変わってないんですけどでも、自分たちもコントロールして戦うというメンタリティーが絶対的に変わったと思います」
■試合決める“ヒーロー”の育成は
(Q.日本にもヒーローのような選手が出てきてほしいと思っていて、そういった選手はどうやったら日本にも出てきますか。育成できますか)
森保一監督
「育成できるんですかね。私自身、プレーモデルを作ると『金太郎あめみたいに同じ選手ばっかりしか出てこない』みたいなこと言われるんですけど、スペインや他の国のように、プレーモデルがあった上で、そこで1番レベルが高い選手と、そこから突出した選手が生まれてくるということがあるのかなと。1つ言えるのは、あまり型にはめすぎず、その選手の個性はしっかりと見てあげることが大切なところかなと思います」
■心に描く“これからの道”は
(Q.この8年間やり切りましたか。やり残したことがあるという思いですか)
森保一監督
「やり切って、エンプティーではないですけど、日々、本当にやり切りながら、ここで終わってもいいと思う気持ちで、ずっと続けてきてるので、そこは、やり切ったということかなと思います。
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